青色申告は「申請の期限」で決まる|1日遅れると1年待つことになる
青色申告は確定申告の時期に決めるものではありません。その年の3月15日までに申請していないと、その年は青色にできません。期限と条件、そして今後の改正予定を整理します。
最初に:期限を過ぎると、その年は青色にできません
一番損しやすいのがここです。
青色申告をするには、事前に「青色申告承認申請書」を出しておく必要があります。
| 状況 | 提出期限 |
|---|---|
| すでに事業をしている | その年の3月15日まで |
| その年の1月16日以後に開業した | 開業日から2か月以内 |
確定申告の時期に「今年は青色で」と決めても、間に合いません。
たとえば2026年分を青色申告したいなら、2026年3月15日までに申請が必要です。2027年2月に申告書を作るときに気づいても、そのときにできるのは白色申告だけです。
1日遅れると、青色の適用は翌年からになります。
開業届と一緒に出すのが確実
これから開業する人は、開業届と青色申告承認申請書を同時に提出するのが最も確実です。
開業届だけ出して青色の申請を忘れる、というのがよくある失敗です。2つは別の書類で、開業届を出しただけでは青色申告になりません。
すでに開業届を出していて青色の申請をしていない場合は、次の3月15日が期限になります。
青色申告特別控除の条件
青色申告の最大の利点は特別控除です。ただし金額は条件によって変わります。
| 控除額 | 条件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記+決算書の添付+期限内申告+e-Taxでの電子申告(または優良な電子帳簿保存) |
| 55万円 | 複式簿記+決算書の添付+期限内申告(書面) |
| 10万円 | 上記を満たさない場合 |
65万円と10万円では、差し引ける金額が55万円も違います。
条件は「すべて」満たす必要があります
見落としやすいのが期限内申告です。複式簿記で記帳していても、申告が期限に遅れた時点で65万円は使えません。
また、e-Taxでの申告が条件に入っているため、紙で提出すると65万円にはなりません(55万円になります)。
今後の改正予定に注意
令和9年分(2027年分)以後について、改正が予定されています。
- 青色申告特別控除は最大75万円に増額される予定
- 書面で申告した場合の控除額は10万円に減額される予定
つまり、紙での申告が大幅に不利になる方向です。
いま書面で申告している場合、e-Taxへの移行を早めに検討する価値があります。 移行には事前の準備(マイナンバーカード等)が必要なので、申告直前に始めると間に合いません。
この情報は令和7年12月に公表された税制改正大綱に基づく「予定」です。 確定した内容ではないため、必ず国税庁の最新情報をご確認ください。
白色のままでいい場合もある
青色が常に有利とは限りません。
所得が少ないうちは、手間に見合わないことがあります。 複式簿記が必要で、記帳の負担が増えるためです。
判断の目安はこうだと思います。
| 状況 | 選択 |
|---|---|
| 副業を始めたばかり・所得が少ない | 白色でも可(無料ソフトで足りる) |
| 所得が増えてきた | 青色を検討(控除の効果が手間を上回る) |
| 事業として続ける前提 | 早めに青色の申請を出しておく |
申請だけ出しておいて、実際にどう申告するかは後で決めることもできます。申請していなければ選択肢そのものがありませんが、出しておけば選べます。
会計ソフトとの関係
複式簿記が条件に入っているため、青色で65万円を狙うなら対応ソフトがほぼ必須です。
手作業でも不可能ではありませんが、貸借対照表まで作る必要があるため現実的ではありません。
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つまずきやすい点
申告が期限に遅れると控除が減る
繰り返しになりますが、期限内申告が条件です。記帳を完璧にしていても、提出が遅れれば65万円は使えません。
e-Taxの準備は早めに
65万円を狙うならe-Taxでの申告が必要です。マイナンバーカードやカードリーダー、あるいはID・パスワード方式の事前手続きが要ります。
申告期限の直前に準備を始めると、間に合わない可能性があります。
海外からの入金がある場合は記録を残す
海外サービスからの報酬がある場合、受取日・外貨額・換算レートの記録が必要になります。
明細をダウンロードできるサービスがほとんどなので、月次で保存する習慣をつけておくと、申告時にまとめて遡らずに済みます。
個別の判断は税理士へ
この記事は制度の一般的な整理です。 個別の状況(何が経費になるか、どう按分するか等)については、税理士にご相談ください。
事業の規模が大きくなってきた場合、ソフト選びより先に相談したほうが早いことがあります。
よくある質問
青色申告承認申請書の提出期限はいつですか?
すでに事業をしている場合は、青色申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に新規開業した場合は、開業日から2か月以内になります。確定申告の時期に決めても間に合いません。
開業届を出せば青色申告になりますか?
なりません。開業届と青色申告承認申請書は別の書類です。開業届だけを提出しても青色申告は適用されないため、両方を提出する必要があります。これから開業する場合は同時に出すのが確実です。
青色申告特別控除で65万円を受けるには何が必要ですか?
複式簿記による記帳、決算書の添付、期限内の申告に加えて、e-Taxでの電子申告または優良な電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。すべてを満たさない場合、控除額は55万円または10万円になります。
紙で確定申告すると不利になりますか?
現行制度でも、書面申告では65万円ではなく55万円の控除になります。さらに令和9年分以後は書面申告の控除額が10万円に減額される改正が予定されています(税制改正大綱に基づく情報)。e-Taxへの移行を早めに検討する価値があります。
まとめ
青色申告は、申告の時期ではなく申請の期限で決まります。
- その年の3月15日までに申請が必要(1/16以後の開業は開業から2か月以内)
- 開業届とは別の書類。両方出す
- 65万円の控除には複式簿記・決算書・期限内申告・e-Taxがすべて必要
- 令和9年分以後、書面申告は10万円に減額予定
所得が少ないうちは白色でも構いません。ただし申請を出していなければ、選ぶことすらできません。 迷っているなら、先に申請だけ出しておくという選択があります。
※本記事は制度の一般的な整理であり、税務上の助言ではありません。最新情報は国税庁のサイトをご確認ください。