同じスキルを5,000円と5万円で売っている|価格は実力ではなく「場所」で決まる
自社サイトではLP制作を5万円から、スキルマーケットでは自動化サービスを5,000円で出しています。同じ人間が同じ技術を使っているのに10倍違う。値段が何で決まっているのかを整理します。
実際にいくらで売っているか
自分が同じスキルを、場所によっていくらで出しているかを並べます。
| 売る場所 | 内容 | 価格 |
|---|---|---|
| 自社サイト | LP制作 | 50,000円〜 |
| 自社サイト | サイト制作 | 100,000円〜 |
| 自社サイト | 運用サポート | 月20,000円〜 |
| 自社サイト | AI導入のスポット相談 | 11,000円 |
| 自社サイト | AI導入の伴走支援 | 月55,000円〜 |
| スキルマーケット | 業務自動化(スプレッドシート) | 5,000円 |
同じ人間が、同じ技術で、10倍違う値段をつけています。
技術力が場所によって変わるわけがありません。変わっているのは、価格を決めている要素のほうです。
何が価格を決めているのか
分解すると、3つでした。
1. その場所での実績
自社サイトには、制作実績・経歴・事業内容が並んでいます。判断材料が揃っているので、価格の根拠を提示できます。
一方、スキルマーケットに出したばかりのアカウントは評価が0件です。何ができる人か、外からは分かりません。
同じ提案でも、実績のない場所では価格の根拠が示せません。 だから安くなります。実力ではなく、証明手段の有無の問題です。
2. 見つけてもらう仕組みの違い
スキルマーケットでは、評価の件数が表示順に影響します。 評価0件だと、そもそも一覧の下のほうに埋もれて見つけてもらえません。
つまり最初の数件は、売上ではなく「評価を得るための投資」です。5,000円という価格は、利益を出すためではなく、順位を上げるために設定しています。
自社サイトにはこの仕組みがありません。代わりに、自分で人を連れてくる必要があります。
| スキルマーケット | 自社サイト | |
|---|---|---|
| 見つけてもらう | プラットフォームが表示 | 自分で集客する |
| 価格の自由度 | 相場に引っ張られる | 自分で決められる |
| 手数料 | かかる | かからない |
集客を任せるか、価格の自由を取るか。 そのトレードオフでした。
3. 手数料
見落としやすい要素です。
スキルマーケットには販売手数料があります。 当方が使っているところは22%です。5,000円で売れても、手元に残るのは約3,900円です。
つまり価格は、手取りから逆算する必要があります。
出品価格 = 欲しい手取り ÷(1 − 手数料率)
手取り10,000円が欲しいなら、約12,800円で出す計算になります。「相場が5,000円だから5,000円」で決めると、手取りを見誤ります。
自社サイトなら手数料はかかりませんが、代わりに集客のコストが自分持ちです。どちらもタダではありません。
実績ゼロの期間をどう扱うか
安く出すことに抵抗があるかもしれません。自分の値段を下げているように感じるからです。
自分は期間を区切ることで折り合いをつけました。
| 段階 | 価格 | 目的 |
|---|---|---|
| 評価0〜3件 | 5,000円 | 評価を集める。ここは投資 |
| 評価4〜10件 | 10,000円 | 相場に戻す |
| 評価10件以上 | 20,000円〜 | 実績で単価を上げる |
最初の価格は、ずっと続く価格ではありません。 一時的に安くするのと、安いまま固定されるのは別のことです。
そして自社サイトの価格は下げていません。 場所が違えば別の値付けでよく、片方を下げたからといってもう片方に影響しません。
つまずきやすい点
安い案件を数でこなしても単価は上がらない
低単価の仕事を大量にこなせば、いずれ単価が上がる——これは起きませんでした。
上がるのは「これを作れる人」と認識されたときです。件数ではなく、見せられるものがあるかどうかでした。
だから低単価の期間にやるべきことは、量をこなすことではなく、実績として見せられる形を作ることです。
提案文よりも、見せられるものを1つ作る
案件に応募するとき、提案文を磨こうとしがちです。
しかしURLを1本貼るだけで、説明の量が変わります。 「こういうものが作れます」と書くより、実物を見せるほうが速い。
実績が少ない段階なら、サンプルでも構いません。 実案件でないことを明記すれば問題ありません。
「見積もり相談を必須にするか」も価格の一部
スキルマーケットには、購入前に相談を必須にする設定があります。
必須にすると購入のハードルが上がり、しないと売れやすくなります。 ただし作業範囲が読めない仕事の場合、安い価格で買われて大幅に赤字になるリスクがあります。
自分は評価が少ないうちは必須にしないという判断にしました。代わりに、購入前に必要な情報を伝えてもらう欄を用意しています。評価がたまったら必須に切り替える予定です。
価格そのものより、こうした設定のほうが手残りに効くことがあります。
よくある質問
同じスキルでも売る場所によって価格を変えていいですか?
問題ありません。価格は技術力だけで決まるものではなく、その場所での実績、集客を誰が担うか、手数料の有無で変わります。実績のない場所では価格の根拠を示せないため、安くなるのは自然なことです。
スキルマーケットの価格はどう決めればいいですか?
手取りから逆算してください。販売手数料が引かれるため、表示価格がそのまま収入になりません。また評価が0件のうちは表示順が下がるため、最初の数件は単価より件数を優先する考え方もあります。
安い価格で受けると、その後も上げられなくなりませんか?
期間を区切れば戻せます。評価が何件たまったら価格を上げる、と先に決めておくと、一時的な投資として扱えます。また売る場所ごとに価格は独立しているため、片方を下げても他方に影響しません。
まとめ
同じスキルを5,000円と5万円で売っています。変わっているのは実力ではなく、価格を支える条件のほうでした。
- その場所での実績(判断材料があるか)
- 誰が集客するか(プラットフォームか自分か)
- 手数料(手取りから逆算する)
そして実績ゼロの期間の安さは、期間を区切れば投資として扱えます。 何件たまったら上げるかを先に決めておくと、安いまま固定される事態を避けられます。
値段が安いのは、実力が低いからではありませんでした。証明する手段がまだ無いだけです。