n8nとMakeの「無料」は意味が違う|比べるべきは機能ではなく課金構造
どちらもノーコードで業務を自動化できて、どちらも無料で始められます。しかし無料の中身がまったく違います。実際に両方を動かして分かった、選ぶときに見るべき1点を書きます。
結論:機能ではなく、コストの増え方が違う
n8nとMakeは、どちらもモジュールを線でつないで業務を自動化するツールです。できることは似ています。
違うのは、使うほどコストがどう増えるかです。
| Make | n8n(セルフホスト) | |
|---|---|---|
| 課金の単位 | 処理の回数(オペレーション) | なし(サーバー代のみ) |
| 実行回数が増えると | 費用が増える | 費用は変わらない |
| 始めるまでの手間 | 登録するだけ | サーバーを用意する |
| 止まったときの復旧 | 提供元が対応 | 自分で対応 |
「たくさん動かすほど高くなる」か、「最初に手間がかかる代わりに動かし放題」か。 ここが選択の分かれ目でした。
Makeの無料枠は「回数」で尽きる
Makeの無料プランを実際に使って、制限値を確認しました。
| 項目 | 無料プランの値 |
|---|---|
| 月間オペレーション | 1,000 |
| アクティブシナリオ | 2個 |
| 最短の実行間隔 | 15分 |
| ログ保持 | 7日 |
誤解しやすいのが「1,000」の意味です。1,000回実行できるわけではありません。
オペレーションはモジュール1つの処理につき1消費します。実際に作った処理(5モジュール構成)の消費量を実行ログから拾うとこうでした。
1回の実行 = 5オペレーション
月1,000 ÷ 5 = 月200回
5つのモジュールをつなぐと、月200回しか動かせません。 1日6〜7回です。
しかも失敗した実行でも消費されます。 試行錯誤がそのまま枠を削ります。
詳しい検証はMakeの無料プランで何ができるかに書きました。
n8nのセルフホストは「回数」では尽きない
一方、n8nを自分のマシンやサーバーで動かす場合、実行回数による課金がありません。
月に何千回動かしても、費用はサーバー代だけです。自宅のマシンで動かすなら、実質的に電気代のみになります。
代わりに、次のコストが発生します。
- 立ち上げる手間(インストール、起動設定)
- 動かし続ける責任(マシンが落ちたら止まる)
- アップデートの対応
- 壊れたときの調査
つまりお金ではなく、自分の時間で払う構造です。
どちらを選ぶか
判断は、動かす回数でほぼ決まります。
| 状況 | 向いているもの |
|---|---|
| 月数十〜200回程度 | Make(無料枠で足りる) |
| 頻繁に動かす(毎分・毎時) | n8n セルフホスト |
| サーバーを管理したくない | Make |
| 止まったときに自分で直せる | n8n も選べる |
| まず動くものを作りたい | Make |
モジュール数で計算する
Makeを選ぶなら、この式で判断できます。
(1回に使うモジュール数)×(月の実行回数)< 1,000
- 3モジュール → 月333回まで
- 5モジュール → 月200回まで
- 10モジュール → 月100回まで
処理が複雑になるほど、動かせる回数が減ります。 これはn8nのセルフホストには無い制約です。
「無料で始めたい」だけならMake
セルフホストは無料に見えますが、立ち上げと維持の時間がかかります。
自動化そのものが目的なら、まずMakeで動くものを作るほうが速いです。回数が足りなくなってから、有料にするかセルフホストに移すかを判断すればいい。
最初から自分で立てると、自動化を作る前にサーバーの世話で疲れます。
Makeを触って良かった点
実際に問い合わせ受付の自動化を作りました。構成は5モジュールです。
メール受信 → 正規表現で解析 → JSON変換 → HTTP送信 → スプレッドシートに追記
操作は簡単でした。 モジュールを並べて線でつなぐだけで、コードは1行も書いていません。
エラーが出たときも、どのモジュールで落ちたかが明示されます。
InvalidConfigurationError: Error: 405 Method Not Allowed
causeModule: ActionSendData (http)
原因の特定が速いのは、この種のツールとして良い設計だと思います。
つまずいた点
URL入力欄に空白が入る
Makeで一番困ったのがこれです。
URLを入力しようとすると、入力欄に勝手に空白が入ります。消しても保存できず、実行時にエラーになります。
BundleValidationError: Validation failed for 7 parameter(s).
対処は、入力欄を完全に空にしてから貼り直す、それでも直らなければモジュールを作り直すことになります。
セルフホストは「静かに止まる」
n8nに限らず、自分で立てたものは止まっても誰も教えてくれません。
マシンが再起動した、プロセスが落ちた、認証が切れた——どれもエラー画面が出ないので、出力が増えていないことに気づくまで分かりません。
実際、別の自動処理が認証切れで14日間止まっていたことがあります。詳しくは自動化が静かに壊れる話に書きました。
セルフホストを選ぶなら、生存確認の仕組みまでセットで作る必要があります。
移行は簡単ではない
「まずMakeで作って、後でn8nに移す」と考えがちですが、作った処理をそのまま持っていくことはできません。 作り直しになります。
長く動かす前提なら、最初に決めておくほうが結果的に早いです。
よくある質問
n8nとMakeはどちらが安いですか?
動かす回数によります。Makeは処理の回数で課金されるため、頻繁に動かすほど費用が増えます。n8nをセルフホストする場合は実行回数による課金がなく、サーバー代のみです。ただしサーバーの構築と維持に時間がかかります。
Makeの無料プランは月に何回まで動かせますか?
月1,000オペレーションまでですが、これは実行回数ではありません。モジュール1つの処理につき1消費するため、5つのモジュールをつないだ処理なら月200回が上限です。失敗した実行でも消費されます。
まず試すならどちらがいいですか?
Makeを推奨します。登録するだけで使え、サーバーの用意が不要です。無料枠で足りなくなってから、有料にするかセルフホストに移すかを判断できます。最初から自分で立てると、自動化を作る前に環境構築で時間を使います。
まとめ
n8nとMakeは、できることではなく、コストの増え方が違います。
- Make … 処理の回数で課金。月1,000オペレーション(5モジュールなら月200回)
- n8n セルフホスト … 回数無制限。代わりに構築と維持を自分でやる
お金で払うか、時間で払うか。どちらもタダではありません。
まず動くものを作りたいならMakeが速く、頻繁に動かす前提が固まっているならセルフホストが効きます。